「モラハラ夫とは別居中」婚外恋愛は「“相手に一線を引く覚悟”が必要」--真紀さん(59歳)のカタチ

[連載]婚外恋愛、それぞれのカタチ
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2020年の日本家族計画協会の調査(※)によると、「浮気・不倫経験がある」と答えた男性は67.9%、女性が46.3%。2017年の調査結果、男性37.0%、女性24.4%から大きく増加している(同調査では性風俗の利用も浮気・不倫に含めている)。
なぜ、彼(女)たちはパートナー以外と関係を持つのか。どう始まり、どう終わるのか。さまざまな背景を持つ「婚外恋愛の経験者」たちに、その実態を聞いていく。
今回は「二人の年下男性と“魔法にかかった時間”を過ごしている」という、会社員で一児の母・真紀さん(59歳・女性)に話を聞いた。
きっかけは「夫との別居」30年レスの末に

真紀さん(59歳・女性)の結婚生活は30年以上に及ぶが、その大半は「女として扱われない」苦しさの連続だったと話す。
「夫とは、26歳のときに出会って、半年で結婚しました。共通の知人に紹介されて、夫にはちょうど転勤の話が出ていて。彼は親から『結婚しておきなさい』って言われて、急いで結婚したようです。恋愛というより、タイミングで決まったようなものでした」
それでも結婚後は夫の赴任に帯同し、見知らぬ土地に変更で支え合って生きていたという。8年後に地元に戻り、直後に妊娠。34歳で出産するが……。
「出産に立ち会った夫は『出産シーンなんて見た以上は、もう女として見れない』と考えたそうです。もともと彼は性欲が強くないタイプでしたが、産後は完全にレス。体も心も冷め切った仲でした」
転機が訪れたのは、真紀さんが56歳で、子どもが社会人になった頃。夫が「この結婚は失敗だった」と言い、別居が始まったそうだ。
「私の人生ってなんだったんだろう?って落ち込みました。でも一年後には、このままじゃ終われない、と思うようになりました」
30年近くセックスレスだけど、まだ女として通用するのか確かめたい--そう考えた真紀さんは、次の一手に出た。
最初は「女性風俗」も考えた。でも一夜だけなんて寂しい

まず検討したのは女性風俗だったという。
「でも、すごく高いし、一夜限りの関係って寂しいな、と思ったんです。そこで、既婚者専用マッチングアプリに登録しました。条件は、住んでいる場所が同じ県内であることと、同世代にしました」
最初にマッチングしたのは、1歳年下のAさん(56歳)。写真交換をせずに会ったところ、外見は「めっちゃおじさんでした」と苦笑いする。
「しかも、回数を重ねるごとにお金を出し渋ってくるようになったんです。最初のデートは彼が少し多めに出してくれたけど、次のデートでは『フルーツが食べたい』と言われて、私が持っていきました。
3回目は『パンが食べたい』と言われて、やっぱり私が持っていっていきました。そして、4回目には「僕はお小遣い制だから、もう少し多めにホテル代を出して欲しい」と言われてしまったんです」
扱いも雑になってきたため、お別れしたと話す。初めての婚外デートは苦い体験となったが……。
「不思議と、もうやめようとは思いませんでした。実際に行動してみたら、“こんな歳でも出会うことはできるんだ”って気づけた。それだけで、自信になったんです」
真紀さんは検索条件の年齢を「40~50代」に変更。そこで、思いもよらない出会いを果たすことになる。
7歳年下の彼で「モラハラ夫に下げられた“自己肯定感”が上がった」

次に会ったのは、7歳年下のBさん(50歳)。「夫婦仲が悪い」という共通点で親近感を覚えて、会うことにしたそうだ。
「『ドライブデートしましょう』と言われて、ドキドキしました。そんな人は初めてだったから。人生初の恋人つなぎをしたり、『かわいいね』とも言ってくれて、自己肯定感を高めてもらいました。
モラハラ夫と一緒にいた期間が長すぎたから、やさしい声がけに嬉しくなるんです。Bさんは話を聞いてくれるし、やさしいし、フィーリングもぴったりでした」
Bさんが車で迎えに来てくれて、ランチをしてから彼のアパートで過ごす、というデートコースが多かったと話す。
真紀さんにとっては“魔法がかかった時間”だったが、悩みもあったという。
「LINEは週に2回だけで、会うのは月に1~2回。恋人にしては頻度が少なくて、不満でした。彼のことを独り占めしたい、もっと会いたい、という気持ちがどんどん強くなっていきました。
でも、彼からは好きだと言われたこともないし、彼女とも言われてません。『私たちの関係って何?』って聞いたら、“仲良し”って返されてしまったんです」
“自爆”しそうになった彼女は、“分散”させるために、新しい出会いを探し始める。
“独占”よりも“心地よさ”を。複数の関係で見つけたバランス

4歳年下の彼は「熟女好き」を明言
次にヒールメイトで出会ったのは、4歳年下のCさん(55歳)だった。
「Cさんは、びっくりするくらい私のことを褒めてくれるんです。ふざけたり、エロトークも軽く交えたりして、すごく会話が楽しい。
熟女好きをって明言していて『年齢なんて関係ない、やわらかい体が好きなんだ』と言ってもらえました」
会う頻度は月に2回とBさんと変わらないが、LINEは毎日やりとりしていたそうだ。しかし……。
「半年後に、急に音信不通になりました。約束してた日が近づいても連絡がなくて、LINEも既読にならない。一週間くらい、ずっと待ってました。
思い返せば、すごく警戒心が強い人でした。待ち合わせもホテルじゃなく現地集合だし、自分の車にも乗せたがらないし」
そこでヒールメイトの掲示板を覗いたら、別の女性が彼のことを話してることを発見したのだとか。
「どうやら、彼と一緒に趣味のイベントに参加していたみたいです。私のことすごい好きだって言ってたくせに、他にもいたんじゃない!と、ショックでしたね」
気持ちを切り替えようとして、再び相手を探すことにした真紀さん。
条件の年齢は引き続き「40代~50代」、住んでいる場所だけ「隣の県」まで広げたところ、思わぬ出会いを果たすことになる。
17歳年下の彼から「年齢なんて関係ないです」
なんと、ひとまわり以上年下の男性とマッチングしたという。
「17歳年下のDさん(42歳)には、私からダメ元で“いいね”を押したんです。メッセージで会話していくうちに、彼も奥さんとレスで、家庭の状況は似たような感じだと分かって。
そうしたら『会いませんか?』って言ってくれたんです。『こんな年上でいいの?』と聞いたら『年齢なんて関係ないです』って返してくれて、その一言に救われました」
会うのは月に1~2回。隣県に住んでいるため、いつも中間地点で待ち合わせをしているそうだ。身体の相性も良く、他にも変化があったと話す。
「彼と付き合い始めてから、周りから『変わったね』って言われるようになりました。『明るくなったし、痩せた』『雰囲気が若返ったね』って。
自分でもそれは感じていて、やっぱり心から笑えるようになったからでしょうね。子どもに『あれ? 香水変えた?』って言われたときはドキッとしましたが(笑)」
Dさんとは現在も続いていて、Bさんとも関係を続けているそうだ。
再婚する気はナシ「“魔法のかかっている時間”だけを楽しめばいい」

真紀さんは二人の男性で満たされているため、他に相手は探していないという。しかし、ここに至るまで、つらいこともあったと振り返る。
「ヒールメイトの掲示板では『ばばあのくせに』『50代は来るな』という書き込みを見かけたことがありました。辛辣なコメントが多く、実際に年齢で見切りをつけられてしまうことも多かったので、傷つきました。
でも、同世代の女性たちに支えてもらったこともあります。
Bさんのことで悩んでいた時に、掲示板で相談したら『男の人も分散してるよ』『次行こう。追わない方がいいよ』って励ましてもらえて。そこで、本気になりすぎない、深入りしないというバランスを学んだように思います」
彼女たちのコメントや、自身の経験から「ときめく相手に一線を引ける覚悟は必要」と語る。
「夫とは別居中ですが、離婚したとしても、誰かと再婚する気はありません。婚外彼氏と一緒に暮らしても、うまくいかないって分かってるから。自分が一番良い状態の時、つまりシンデレラみたいに、“魔法のかかっている時間”だけ会えばいい。
色んなことが見えてくると、楽しくなくなります。お互いに素敵なところだけを見せて、余計なことは詮索しない。その距離感が心地いいんです」
--“夫婦の終わり”が、人生の終わりではない。 何歳になっても、次の一手は残されている。真紀さんの幸せそうな笑顔は、そう教えてくれた。
※出典:【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ
https://www.jfpa.or.jp/pdf/sexservey2020/JexSexSurvey_p12.pdf
(同調査では性風俗の利用も浮気・不倫に含めているため注意)
<取材・文/綾部まと>
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