【連載】結婚って何だろう|ヒールメイトとは?既婚者同士の新しい関係の提案
既婚者同士のマッチングサービスが流行しています。
日本で初めて既婚者限定のマッチングサイトが誕生したのは2018年のこと(※)。既婚者限定の合コンやパーティはもう少し古く、2014年ごろにはすでにあったと思います。
しかし、いずれも当時はアングラ感が漂うサービスで、一般の人にはほとんど知られていませんでした。
※2013年に日本に上陸してすぐに撤退したカナダ発のアシュレイマディソンは除く。
状況を大きく変えるきっかけになったのは、2022年から2年間に及ぶコロナ禍です。
当時は、在宅でのリモートワークが進み、学校もリモートとなって、家庭でのフラストレーションが溜まっていました。多くの人々が「逃げ場」をSNSなどのインターネットの世界に求めましたが、既婚者限定のマッチングサイトを利用する人も急増しました。
既婚者限定のマッチングサイト、通称「既婚者マッチングアプリ」の利用者は、この時期に数十倍になったといわれています。知名度も上がり、多くの人が知るサービスとなったのです。
ただし、既婚者マッチングアプリの利用=不倫ではありません。
そこにはたくさんのニーズがありました。
いわゆる婚外恋愛とよばれる「恋愛」を求めている人、一線は越えず「友達以上恋人未満の関係」(セカンドパートナー)を求めている人、純粋に異性の友達を求めている人、同じ立場の人と気持ちを分かち合いたい人、外では言えない結婚や夫婦関係の悩みをシェアしたい人──。
実に多種多様な関係性が求められていたのです。

新しい関係性すべてをまとめる言葉がない問題
しかし、そこに大きな問題がありました。
このような関係性全体を表す言葉がなかったのです。現在もありません。
婚外恋愛は、恋愛に近い関係だけ。
セカンドパートナーは、配偶者(ファーストパートナー)のサブ的な意味合いが強い。
それにどちらも、
- 軽く会って話すだけの関係
- 食事やお酒を楽しむだけの関係
- 趣味を一緒に楽しむだけの関係
- 悩みを相談する関係
などは含まれません。
これらの関係は、自分の生活とは切り離したものですから、友達もしっくりこない。
そこで、「婚外の関係」という意味合いで「婚外」という言葉も使われだしましたが、やはり恋愛に特化した感は否めず、それほど広がっていないのが現状です。
次のグラフは、Google検索数の比較ですが、多くの方が「どの言葉を使うべきか」迷っている様子が見て取れます。

(ちなみに、2023年10月頃から数か月間、突然「セカンドパートナー」が飛びぬけて検索されていますが、東海オンエアという有名ユーチューバーのカップルがセカンドパートナーの存在を公表して世間を騒がせたからです)
そこでご提案
婚外恋愛、セカンドパートナー、日常とは切り離した既婚者同士のさまざまな関係(話し相手、食事相手、相談相手など)全体を、ヒールメイトと呼びませんか?
ヒール=heal(癒し)、メイト=mate(仲間)
ヒールメイトは、癒し合い支え合う既婚者同士の新しい関係性という意味になります。
心のつながりを大切にする関係であり、不倫、セフレ、割り切った関係などは含みません。
軽く会って話すだけの関係、食事やお酒を楽しむだけの関係、趣味を一緒に楽しむだけの関係、悩みを相談する関係も含みます。
家庭や日常の外にある、もう一つの居場所「サードプレイス(third place )」にもなる関係性です。

まとめ
現代の結婚は、ゆらぎを見せているように思えます。
古くから結婚は、生活や家の存続のためにするものでした。しかし100年ほど前から「恋愛結婚」という考え方が浸透し、日本では1960年代に恋愛結婚がお見合い結婚を上回りました。
以降、結婚と恋愛は不可分なものになりましたが、恋愛感情はずっと続くものではありません。代替となる「家族愛」も、個人に重きがおかれて様々な絆が拡散する現在、以前よりも希薄になっているのではないでしょうか。
もちろん家族に対する愛はありますが、常に一緒に行動し、同じ思いを共有し、安らげる安全な居場所である家庭が、どれほどあるでしょうか。
多くの既婚者が、心の癒しや居場所を求めてさまよっているように見えます。
離婚件数のピークは2002年の約29万件。以降、大きく減少し、現在は19万件程度です(2023年から微増傾向)。シングルマザーの貧困、中高年男性の孤独などがクローズアップされ、離婚は必ずしも幸せな帰結にならないという認識が広まったためです。
そこで、結婚を維持する選択になるのですが、心が置き去りにされている感覚が多くの既婚者に存在するのではないでしょうか?
しかし日本の結婚制度は80年以上変わりません。原型をいえば、明治時代から変わっていないのです。
結婚制度が変わらないならば、少しだけ選択の幅を広げてもよいように思いますが、いかがですか?
家庭や日常とは切り離した、癒し合い、支え合う既婚者同士の新しい関係=ヒールメイトの存在は、すでに現実として広がりをみせています。
おおっぴらは難しいかもしれませんが、ますます生きづらさを感じる現代。既婚者がそんな存在を持つことが許容されてもよいと思うのです。
(文=浦野圭介)

