加藤ローサの「離婚同居」にみる、令和妻たちの「苦悩の先」

なぜ離婚?なぜ同居?そしてなぜ「女性の共感」を集めるのか
女優の加藤ローサさん(40)が公表した「離婚同居」という選択に、既婚女性から多くの反響が寄せられています。
ではこの話題、具体的にどんな点に注目すべきで、一体なにが世の妻たちの心をつかむのでしょうか?
今回は令和妻が結婚生活や夫に対して抱えるモヤモヤを見つめ直し、現状を打開する「その先の選択肢」について考察します。
「俺様夫」との結婚生活の終わり

離婚届を出して「妻」の役割を卒業する。「妻」から降りる──。
妻として母として14年間家族に尽くしてきた加藤さんが選んだのは、「夫」との結婚生活にピリオドを打つことでした。
「互いの関係を変化させる」ための離婚同居
8月17日放送の『おしゃれクリップ』(日本テレビ系)に出演した加藤さんは、サッカー元日本代表の松井大輔さん(44)との離婚を報告し、現在も同居していることを告白しました。
離婚を公表した番組内で、加藤さんは「力が抜けた。そもそも妻じゃない、頑張らなくていい」と晴れやかな表情で心境の変化を語っています。
加藤さんいわく、元夫の松井さんはいわゆる“俺様タイプ”の夫。
「『俺たちの世話をするのは当然でしょ』みたいな序列がある」「彼が行きたいところにしか行けない」など、家事育児に非協力的で自分本位、昭和な亭主関白ともいえる元夫への不満を、これまでも加藤さんはインタビューなどを通して吐露していました。

「10年かけて夫の俺様部分を削った」と話す彼女ですが、最終的に、夫婦関係を解消すべく「離婚」という選択をしたのが今回の報道です。
“これ以上「夫」の変化は期待できない” “だから、もう「妻」をやめよう”──
長年にわたる夫との温度差や、我慢や諦め、孤独感──。そんな苦悩の数々を経て、加藤さんは葛藤の末、子どもにとって負担の少ない「離婚はするけど、同居を続ける」という決断をしたのでしょう。
既婚女性から殺到する同情と共感
離婚報道後、加藤さんの決断や苦悩に対する世間の反響は大きいものでした。
とりわけ話題を呼んでいるのが、結婚10周年にプレゼントされた記念指輪のエピソードです。
SNSに投稿された写真には、“子育て真っただ中”の彼女のニーズには合わない、大振りでギラギラした指輪をはめた加藤さんの姿が。
一見「のろけ話?」とも思える投稿ですが、夫から贈られたと書かれた投稿には、「普段使いできるものがよかったって言ったけど、理解されなかった」という旨の文章が添えられています。

“なるほどこれは、手のかかる子どもの世話をする妻の気持ちが全く分かっていない”──。
家庭に入った経験のある女性なら、少なからず贈り主である元夫の“押しつけがましさ”をこう冷笑したはずです。
今回の加藤さんの「離婚」、そしてそこに至るまでの数々のエピソードは、幅広い世代の現役妻にとっても“あるある”といえるもの。
初めての育児出産を海外で迎え、不安や孤独を一人で抱え続けていた加藤さんの体験に、あらためて“見えない苦しみ”を感じて共鳴した人も多いでしょう。
「見た目も家庭も完璧に見える女性でも、自分と同じように苦しんでいた」という驚きと共感、そして「よくぞ夫に言い切った」との称賛の念が一気に表出したのが、今回の加藤ローサさんの報道だといえます。
これ以上「一方的な我慢」を強いられたくない
加藤さんはあるインタビューで「結婚生活は修行」と話しています。
26歳で結婚し、40歳というタイミングで離婚を選んだ彼女には、どのような思いがあったのでしょうか。

夫婦から、対等な「父と母」の関係に
「良い妻でいなきゃと思っちゃって」
番組での離婚報告の際、加藤さんはこう話しました。「籍が入っていると入ってないのでは、私の気持ちが結構変わって」という発言からは、今は「良い妻」というプレッシャーから解放され、どこか安堵感がにじむ様子も窺えます。
仕事柄、海外を転々とする夫に寄り添い続け、家族ファーストで身を粉にして尽くしてきた彼女。
しかし、理解があるとは言えない夫との結婚生活、異国の地での過酷なワンオペ。仕事を減らして家庭を守ることに徹してきた加藤さんには、積み重なる我慢があったはずです。

「彼は自分の好きなことだけを追いかけてるタイプ」であり「変わらない」――。
明るい表情でこう説明する裏には、人知れず妻として抱えてきた苦悩や乗り越えてきた試練のようなものが見て取れます。
“いつの時代も、グッと堪えて我慢して家庭を支えるのは妻の方”――というのは、多くの妻に共通する思いかもしれません。
しかし、加藤さんは離婚をして夫婦を解消することで、「夫と妻」の関係から一線を引きました。
そして、あくまで対等な、子どもにとっての「父と母」という立場に自身を置き直すことで、“一方的な我慢”と決別する方法を私たちに示してくれたのです。
妻or夫の片方が我慢すべきではない
加藤さんの夫のケースのように、家事や育児などを“当たり前”に享受する夫は、まだまだ多いのではないでしょうか。
「俺について来い」と言うと頼もしい存在のようにも見えますが、その陰では「妻が子育てをしてくれれば、自分は心置きなく仕事ができる」「俺は働いていればいいんだ」という思いが透けて見えるのも事実でしょう。
基本的に夫婦とは、どちらかが一方的に我慢すべきものではないはずです。夫婦は法律上「お互いに助け合い、協力して生活することが必要である」とされています(民法752条)。
もちろん我慢をしているのは、“妻だけ”とは限りません。妻と夫はお互いに対等なのが本来の結婚のあり方で、もしそれが難しいなら加藤さんのように“離婚同居”をするのもよい選択といえるでしょう。
現代の結婚制度の理不尽さ
夫婦になることは、必ずしも“自分の幸せ”を保証してくれるものではない――。
ときに“呪縛”ともなる現代の結婚制度について、ここで一度おさらいしてみましょう。

「あるべき家族」?多様な家族の形に対応できない現制度
「家制度」を廃止し男女平等の原則に基づく夫婦関係を定めた1947年の民法改正から、もうすぐ80年。この間に私たちの生き方は大きく変わりました。
しかし、現代の結婚制度には今なお明治民法時代の「家制度」の秩序が残っています。
たとえば民法が提示する「あるべき家族」「あるべき結婚」という概念は、妻や夫を個人ではなく“その家の一員”として規定するものです。家族を“単位”として国民を管理するためのシステムにすぎないともいえます。
一夫一婦制、家族という装置、構造の問題も⋯
さらに現制度の理不尽さには、婚姻というシステムの問題も大きく影響しています。
結婚すると、私たちは例外なく「一夫一婦制という制度」や「家族という装置」の中に組み込まれます。国家が決めた法律に則った結婚(婚姻)を選ぶことでしか戸籍上の夫婦になれず、社会保障などの恩恵を受けられないからです。
しかし、そもそも婚姻とは、効率よく「世代を繋いでいく」ことを念頭に作られたもの。
「一夫一婦制」で男女の関係を特別なものとして法律的に認め、次世代を再生産するための「家族」を作るのが、婚姻というシステムの役目なのです。
結婚は必ずしも“今この瞬間”を生きる妻や夫の幸せにするものではないことは、こうした婚姻の構造からもわかるのではないでしょうか。

そもそも、すべての役割を一人に期待するのは難しい
一夫一婦制が採用されている日本では、当然ながら「一人の人間が同時に婚姻できるのは異性一人に限る」のがルール。
しかし、あなたは夫や妻に、以下の役割をすべて求められるでしょうか?
- 恋人
- 親友
- 相談相手
- 経済的パートナー
- 育児や家事の協力者
上記のすべてを100%期待することは、現実的に難しいでしょう。
このように、多様化する夫婦関係やライフスタイルにまったく対応し切れていないのが、現代の結婚制度なのです。
結婚すると融通がきかず理不尽だと感じてしまうのは、ある意味では当然と言わざるを得ないでしょう。
令和妻の生きづらさは、あなただけの問題じゃない
結婚や夫婦の悩みは、自分の夫や妻など「誰か責める」ことで解消する問題ではありません。
けれども、結婚してから不満はつのるばかり――という方も多いはず。
ここでは、そんな“生きづらさ”に焦点を当てて深堀りします。

令和妻たちの苦悩
女性の社会的自立が進んだことで、女性の選択肢は「結婚一択」から「結婚も仕事も」へと変化しました。
しかし、問題は夫となる男性たちの“育てられ方”がいまだに変わっていないことです。
たとえば出産後の一コマ。
「家事育児、産後うつ、保育園探し、復職」といった言葉は、情報として頭ではわかっていても、いざとなると体が動かない――そんな男性も多いのが現状でしょう。
結果、「家事育児は女がするもの」という性別による役割分担意識が夫から抜けないため、「働いて家事もこなす妻」や「ワンオペ育児妻」、「悲鳴を上げるしかない妻」が生まれる――という悲劇が繰り返されるのです。
さらに悲しいかな、日本のジェンダーギャップ指数は148カ国中118位(2025年)。日本はジェンダー意識の低い国でもあるため、こうした固定化した男女観や結婚観はすぐには変わらないといえそうです。
「法律婚」をやめれば、デメリットが大きいのも事実
自分の人生を見つめ直した時に、「夫のためではなく、一人で自由に生きたい」と考えるのは自然なことでしょう。
加藤ローサさんのように離婚同居を選ぶなど、「離婚」の形も多岐に渡ります。
とはいえ、たとえ離婚したくても「法律婚」をやめれば、社会保障上の制度を利用できなくなるのも事実です。
配偶者控除や第三号被保険者といった優遇を受けられなくなるのはデメリットでもあるため、「夫婦のけじめ」をつける離婚が、必ずしも有意義な決断にはならないともいえます。

令和夫も生きづらい?
さて、ここまで女性=妻の目線で記事を追ってきましたが、夫サイドの言い分も聞いてみましょう。
「“俺様”じゃない令和夫だって生きづらい」
「“家計の多くは男が担う”という不文律はまだ残っている」
「それなのに育児や家事の平等やシェアまで求められて、釈然としない」
――浮気もせずに真面目に生きているのに、なんとなく「これだから夫は」って軽んじられ気味⋯。
そんな声が今にも聞こえてきそうですが、職場では上に絞られ、家庭では妻に小言を言われながらも家事育児に勤しむ男性陣も少なからずいるのが実情ではないでしょうか。
時代とともに変化することなく、さまざまな不平等や矛盾を生んでいる現代の結婚制度。妻・夫の双方にとって“足かせ”となることの多い令和の結婚は、今まで以上に大変かもしれません。
そろそろ「結婚」という形の棚卸しが必要な時期に来ているといえるのではないでしょうか。
※ここまでの画像は加藤ローサさんのInstagramより。
「夫を諦めた」なら、もう一つの選択があってもよい
現在の結婚や婚姻システムは、妻となり夫となる人間を、自動的に“快適かつ幸せ”な場所まで運んでくれるものではありません。
とはいえ、もし夫婦生活に悩みを抱えていたとしても、すべての人が加藤ローサさんのように潔く「離婚」の決断ができるわけではないでしょう。実際に、法律上の夫婦の枠を維持したほうが得られるメリットが大きい面もあるのですから。
くわえて、現在では別居婚、卒婚⋯など「非離婚」の家族のあり方も登場しています。単に離婚して自分を解放してあげることだけが、最善の選択ではないともいえるでしょう。
婚外恋愛という「もう一つの選択」
人生を前向きに進めるための選択として、最近では家庭の外にサードプレイスを確保するケースも増えてきました。
たとえば、“お互いの家庭を大切にする”という前提で行う「婚外恋愛」。
既婚者同士、理解しあえる相手を見つけることで、自分自身の生活そのものを見つめ直すきっかけが得られると注目を集めています。
近年は既婚者向けマッチングアプリ(既婚者アプリ)も急速に利用者が伸びており、特に友情や社交を目的とする『Healmate(ヒールメイト)』は、新たな人間関係を築くためのツールとしても人気です。
「離婚は難しいけど、現状からは抜け出したい」
「夫に期待するのを諦めた」妻のみなさんも、「良い夫でいるのを諦めた」夫のみなさんも、現時点では、夫婦生活の中に“新しい居場所”を組み入れることが、最短ルートで自由な人生をスタートさせる第一歩かもしれませんよ。
【参考文献・記事】
・『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!』(上野千鶴子、田房永子著/2020)
・日本の結婚制度に潜む「不条理なバグ」…これでは多様な家族に対応できない|PHPオンライン https://shuchi.php.co.jp/article/9089
・婚姻について知ろう|法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/kazoku/konin.html
・民法と刑法|国立公文書 https://www.archives.go.jp/exhibition/digital/saiken/shousai/2_20_21_22.html?num=22
・【ジェンダーギャップ指数】日本、2025年は世界118位で前年と同じ 政治分野は後退|朝日新聞SDGs ACTION! https://www.asahi.com/sdgs/article/15836643
・夫婦別姓に同性婚……。課題は山積みだけれど、その前に知るべき「結婚の不都合な真実」。【VOGUEと学ぶフェミニズム Vol.11】|VOGUE JAPAN https://www.vogue.co.jp/change/article/feminism-lesson-vol11
・100年前の日本人が「全員結婚」できた理由|東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/202863?page=2
・卒婚とは?離婚との違いやメリット・デメリットを紹介|アディーレ法律事務所 https://ikebukuro.adire.jp/column/130
[PR]

Healmate(ヒールメイト)は、既婚者専用のマッチングアプリ。男女の出会いやセカンドパートナー探し、友達づくりなど、様々な用途でご利用いただけます。掲示板やグループチャット、オフ会などの機能もあり、既婚者コミュニティとしても活用されています。
女性は完全無料、男性は登録無料でマッチング女性とのメッセージ以上は有料です。登録は簡単ですから、ぜひ一度サイトをのぞいてみてください。
インターネット異性紹介事業届出済
受理番号(30220008-000)
ⒸHealmate magazine
本記事の著作権は、Healmate(ヒールメイト)を運営するレゾンデートル株式会社が保持しています。無断転載・引用は固くお断りさせていただきます。