【弁護士解説】セカンドパートナーとは?違法なの?慰謝料を請求されない、離婚されない方法は?|シリーズ「婚外と法律問題」

既婚者向けのマッチングアプリが流行し、利用者は100万人を超えるといわれます。巷では「セカンドパートナー」「プラトニック不倫」などの言葉をよく耳にするようになりました。
そこで、疑問に思うのが、
「既婚者同士のマッチングって大丈夫なの?本当に合法?」
「セカンドパートナーは合法?婚外恋愛や不倫・浮気と何が違うの?」
「配偶者にバレたら慰謝料を請求されるのでは?」
などの法的な問題です。
今回の記事では、弁護士の尾熊晋大朗先生(永世綜合法律事務所)に、既婚者マッチングやセカンドパートナーと法律の関係について詳しく解説いただきました。
既婚者同士の男女関係、出会い、パートナー作りに興味のある方、必見です。
なお、「婚外恋愛」については姉妹記事の「【弁護士解説】婚外恋愛とは?違法なの?不倫で慰謝料請求を避ける方法は?|シリーズ「婚外と法律問題」|Healmate magazine」をご覧ください。
セカンドパートナーとは?婚外恋愛、不倫や浮気との違い
法的な問題の解説に移る前に、用語を整理しておきましょう。
セカンドパートナー(セカパ)と、婚外恋愛、不倫、浮気は、一般的に次のように区別されています。
婚外恋愛 | 既婚者が配偶者以外の既婚者と恋愛関係になること。心の繋がりを重視し、互いの家庭を壊さない、介入しないなどのルールがある。 |
不倫 | 既婚者が配偶者以外の異性と男女関係になること。肉体関係をより重視する関係で、相手は既婚者に限らず、独身の場合も含む。既婚者同士の場合はW不倫とも。 |
浮気 | 既婚者や恋人関係にある者が配偶者や恋愛相手以外の異性と関係を持つこと。基本的には肉体関係を持った場合をさし、性風俗の利用が含まれることもある。既婚者の場合は不倫よりも軽い関係の意味で使われる。 |
セカンドパートナー(セカパ) | 既婚者が配偶者(ファーストパートナー)とは別に持つプラトニックな関係の婚外パートナーのこと。肉体関係がないため、「友達以上、恋人未満」の関係とも称される。「肉体関係なしの婚外恋愛」も含まれ、その場合は「プラトニック不倫」という別名もある。 |
図にすると、次のような関係になります。よりイメージがしやすいかもしれません。

弁護士が解説!既婚者マッチングと
セカンドパートナーの法律問題
ここからは永世綜合法律事務所の尾熊晋大朗先生に、既婚者マッチングや婚外恋愛に関する法律問題をご解説いただきます。
疑問1:既婚者マッチングは違法?合法?

尾熊先生、今回は解説をお引き受けいただき、ありがとうございました。
早速、単刀直入にお聞きしますが、既婚者マッチングアプリは違法ですか?

既婚者マッチングアプリ自体は違法ではありません。異性でも同性でも既婚者同士がマッチングして繋がること自体に、法的な問題はありません。
ただし、マッチング後の行動によっては法的トラブルに発展する可能性があります。後ほど詳しくご説明します。
なお、既婚者マッチングアプリを含むインターネット上の男女マッチングサービスは、18歳未満の出会い系サイト等の利用を禁じた「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」(通称:出会い系サイト規制法)に基づき、事業の開始前に都道府県公安委員会に届出をする義務があります。
届出が受理されると、管轄の警察署から11桁の受理番号が発行されます。受理番号が発行されたうえで、摘発などされずに運用されていること自体が、既婚者マッチングアプリに違法性がないことを示しているともいえます。違法なサービスであれば、行政もすぐに摘発するはずだからです。
大手の既婚者マッチングアプリは、サービスの紹介ページなどに受理番号を記載しています。受理番号の記載がないサービスの利用は、避けた方がよいかもしれません。

既婚者合コン、既婚者パーティーなどもありますが、こちらも同様に違法性はありませんか?

既婚者マッチングアプリと同様に、原則違法性はありません。
疑問2:既婚者マッチングを利用して法的に問題になるケースとは?

先ほど「マッチング後の行動によっては法的トラブルに発展する可能性がある」とおっしゃいましたが、具体的にどのような場合ですか?

「不貞行為」と見なされる行動があったとき、どちらかの配偶者に対して「精神的な苦痛を与えたとき」などに、法的な問題に発展する可能性があります。
前者は離婚や慰謝料請求の理由となり、後者は慰謝料請求の理由となります。

「不貞行為」とは何でしょうか?

「不貞行為」は簡単に言えば「配偶者以外の異性と肉体関係を持つこと」を指します。
不貞行為は、民法770条において、裁判所に離婚の訴えを起こすことができる要件の一つに挙げられています。「法定離婚事由」と呼ばれるもので、具体的には次の5つです。
①不貞行為:配偶者以外の異性と肉体関係をもつこと
②悪意の遺棄:正当な理由なく、夫婦間の同居・協力・扶助義務を履行しないこと
③生死不明:配偶者が行方不明になり三年以上生死が分からないとき
④強度の精神病: 配偶者が強度の精神疾患をわずらい、回復の見込みがないとき
⑤婚姻の継続困難:その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき
そのため、不貞行為が発覚すると、離婚の理由になってしまいます。
また、民法709条に定める「不法行為」に該当する可能性もあります。

不貞行為に該当する「肉体関係」とは性行為、いわゆるセックスのことですか?

性行為だけでなく、性器を愛撫する、裸で抱き合うなどの性的類似行為も不貞行為に該当する可能性があります。

キスやハグは不貞行為になりますか?

キスやハグは原則的に不貞行為には含まれません。
疑問3:セカンドパートナーは不倫・浮気ですか?

セカンドパートナーは、不倫や浮気にあたりますか?

セカンドパートナーの関係は、一般的に不倫に該当しません。浮気に当たるかは人によって考え方が様々でしょう。
不倫や浮気という言葉は、法律用語ではなく一般用語です。
不倫という言葉はもともと倫理的でない行為を指しますが、近年は既婚者が配偶者以外の異性と肉体関係を持つことを指すケースが多くなってきています。ですから、不倫=不貞行為と考えてよいでしょう。
セカンドパートナーの関係で肉体関係を伴わない場合には、不貞行為には該当しません。よって、「不倫ではない」といえます。
一方、浮気の場合は、一般的には、他の異性に心を寄せる、他の異性と親密にするなどを含む場合もあるため、人によっては浮気と見なすケースもありそうです。
疑問3:セカンドパートナーを持つと法的に問題になりますか?慰謝料を請求されることはありますか?

セカンドパートナーはプラトニック(※)な関係で、肉体関係を持ちませんから、法的に問題になることはありませんか?
※プラトニック:肉体関係を伴わない純粋に精神的な関係のこと。

セカンドパートナーとの関係で肉体関係が無い場合には不貞行為に当たらないため、肉体関係を伴う婚外恋愛、不倫などに比べれば法的なリスクは相対的に低いと言えます。
ただし、セカンドパートナーとの関係が「社会通念上許容されている限度を逸脱しているもの」であり、「どちらかの配偶者の権利を侵害」した場合は、慰謝料請求の対象になることもあり得るため、注意が必要です。

「社会通念上許容されている限度を逸脱している関係」や「配偶者の権利を侵害」とは、どのようなケースをいうのでしょうか?

社会通念上許容されている限度を逸脱しているかどうかは、世間一般の常識や社会通念に照らして、その物事が適切であるといえるのかという観点から判断されます。
セカンドパートナーとの親密性や関係性が、結婚している者同士の男女の関係として世間の常識や社会通念から逸脱していると判断されれば「社会通念上許容されている限度を逸脱している」と見なされます。
例えば、肉体関係はなくても頻繁にデートして長時間一緒に過ごし、キスやハグを繰り返す、高価なプレゼントを頻繁に贈る、多額の金銭的援助を行うなどあり得ます。
また、配偶者の権利の侵害とは、セカンドパートナーとの関係によって夫婦関係が悪化するなど、配偶者の「平穏な婚姻生活を営む権利」を侵害した場合をいいます。
慰謝料とは、権利の侵害によってこうむった「精神的苦痛」に対する損害賠償ですから、不貞行為がなくても、セカンドパートナーとの社会的相当性を超える関係によって配偶者の当然の権利である「婚姻生活の平穏」が害され、それにより配偶者が精神的苦痛をこうむったと立証できれば、慰謝料請求が認められる可能性はあり得るのです。

実際に、肉体関係、つまり不貞行為がないセカンドパートナーといえるような関係でも、慰謝料請求が認められたケースはありますか?

はい、あります。
例えば、不貞関係を解消した過去があったうえで深夜の面会を複数回行った、その結果、夫婦関係が破綻したケースで、不貞行為の事実は認められなかったにもかかわらず妻の慰謝料請求が認められたという判例があります。
また、肉体関係はないものの長期間キスやハグなど親密な関係を持った事例で慰謝料請求が認められた裁判例もあります。
そのほか、相手が配偶者に結婚させてほしいと直接何度も申し出た、配偶者に読まれると夫婦関係が悪化するような内容のメールを相手が送ったなどの事例でも慰謝料請求が認められています。
ただし、慰謝料請求が認められるためには、セカンドパートナーとの関係が始まった時点で、婚姻生活が平穏だったという事実が必要です。
夫婦仲が冷めきっていた、別居状態にあったなど、すでに婚姻生活が破綻状況であった場合は、セカンドパートナーとの関係によって夫婦関係が悪化して精神的苦痛をこうむったという因果関係が成立しないので、慰謝料の請求はできないケースもあり得ます。

セカンドパートナーの関係で、キスやハグをするケースもありますが、法的な問題になりますか?

前述の通り、キスやハグは原則的に不貞行為と見なされないため、そのこと自体でただちに慰謝料請求が認められる可能性は低いでしょう。
しかし、セカンドパートナーとのキスやハグは、既婚者同士の異性関係として世間一般の常識や社会通念を逸脱していると判断されるケースもあると思われます。すると、「社会通念上許容されている限度を逸脱している」として慰謝料請求が成立する場合があり得ます。
疑問5:セカンドパートナーは離婚の理由になりますか?

セカンドパートナーとの関係が離婚の理由になりますか?

セカンドパートナーとの関係は不貞行為にあたらないため、肉体関係のある婚外恋愛や不倫に比べれば、一般的に離婚の理由になりにくいとはいえます。
ただし、民法770条に挙げられた法定離婚事由のうち「婚姻を継続し難い重大な事由」の判断の一要素となり得るので、セカンドパートナーとの関係性など具体的な事情によっては「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するものとして、裁判で離婚が認められる可能性もあるでしょう。
セカンドパートナーとの間で社会的相当性を超える親密な交際を続けており、何度も関係の解消や是正を求めても改まらない状況であれば、正常な婚姻関係の継続は困難と考えられるためです。
疑問6:慰謝料請求されないためにはどうすればよいですか?

既婚者マッチングやセカンドパートナーとの関係で慰謝料請求をされないためには、どうすればよいですか?

不貞行為を避けることが大前提ですが、そのうえで、セカンドパートナーと節度を保ってお付き合いし、自身あるいは相手の家庭を壊すような行為を避けましょう。また、自身あるいは相手の配偶者を傷つけるようなことはせず、十分に配慮することが必要です。
つまり、家庭の義務をきちんと果たし、家族との時間を十分に配慮する必要があります。
最も安全なのは、相手との交際を配偶者に認めてもらうことです。現代ではオープンマリッジ(※)、公認不倫など、様々な形が生まれてきているうですので、ご自身の配偶者と話し合って公認を得るなどトラブルになることをできるだけ避ける方向性を模索していきましょう。
※オープンマリッジ:別の相手との恋愛やセックスを制限しない婚姻の形。1970年代に欧米で生まれた考え方で、現在再び注目されている。
既婚者マッチングやセカンドパートナーに関する法律問題のまとめ
いかがでしたか?
今回の記事では、次のことを解説しました。
- 既婚者マッチングは違法ではない
- 既婚者マッチングで出会った相手と不貞行為(肉体関係)があった場合は、民法上の「不法行為」として慰謝料請求の対象になる可能性がある
- キスやハグは原則的に不貞行為とは見なされないが、既婚者同士の異性関係として世間一般の常識や社会通念を逸脱していると判断され、慰謝料請求は離婚裁判で不利に働く可能性がある
- セカンドパートナーとの関係が世間一般の常識や社会通念を逸脱し、そのことにより夫婦関係を壊した場合は、慰謝料請求の対象になる可能性がある
- セカンドパートナーとの関係が世間一般の常識や社会通念を逸脱したものと見なされ、配偶者が何度も関係の解消や是正を求めても改まらない場合は、「婚姻の継続困難」と見なされ、裁判で離婚が認められる可能性もある
- 配偶者公認の関係にすれば法的なトラブルに発展しにくい
既婚者マッチングアプリなどを通じた既婚者同士の出会いは、今後もますます盛んになるでしょう。
今回の記事に基づき、夫婦関係を壊したり配偶者を傷つけたりしないよう、慎重に行動してくださいね。
尾熊先生、お忙しいなか、丁寧に分かりやすく解説くださり、ありがとうございました。
2025年9月3日 監修者:永世綜合法律事務所 尾熊晋大朗先生 |
![]() 尾熊晋大朗先生 | 取扱分野は、離婚・相続などの民事事件全般および企業法務。 個人顧客からは、不倫・離婚等の男女トラブル、相続、不動産、交通事故といった幅広い分野で案件を受任。 法人顧客には、介護・IT・教育など各業種の事業者から顧問弁護士として依頼を受け、契約書作成・チェック、リーガルリサーチ、債権回収などのサービスを提供。 複数のWebサイトを自ら運営し、記事執筆等の経験も豊富。法律記事の監修経験もある。 |
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