再婚だけじゃない「再出発」のやり方──フランスから「再婚」を考える
[連載]フランスからみた結婚と夫婦のカタチ 第3回
結婚とは何だろう。制度なのか、それとも関係性なのか。フランスに暮らしていると、その問いを自然と突きつけられる瞬間がある。
事実婚、PACS(※)、離婚、再構築――日本とは異なるさまざまな選択肢があるなかで、フランスの人々はどのように「ふたりの形」を選び取っているのか。日本との違いはどこにあるのか。
このシリーズでは、パリ近郊に住む筆者(3児の母)が、フランスの日常を通して見えてくる、結婚と夫婦の多様なかたちを考える。日本で「結婚ってどうなの?」と疑問を持ったり、「結婚生活、なんか苦しい」と感じたりしている既婚者の方にぜひ読んでいただきたい。もしかすると、あなたの疑問や悩みを解決するヒントがあるかも?
第三回となる今回は「再婚」について紹介していく。
※PACS(パクス):1999年に導入された、「民事連帯協約」とも呼ばれるパートナーシップ制度。同性・異性カップルが結婚(法律婚)に近い法的な保護(税制・社会保障・財産など)を受けながら、より簡単な手続きで契約や解消が可能。
日本の方が再婚しやすい?

離婚は終わりではない。少なくともフランスのデータはそう語っている。
フランス国立統計経済研究所(INSEE)によると、婚姻届のうち初婚は82%、再婚は18%。離婚してから再婚するまでの期間は、男性は約6年、女性は約7年だった。
男性の方が1年早いのは、なぜだろうか? これは筆者の推測だけど、「新しい女性と出会いやすい」ということが大きいのではないかと思う。
フランスでは子連れ夫婦が離婚をすると「平日はママが面倒を見て、週末はパパ」というパターンが多い。新しい出会いを探すとき、男性は5日チャンスがあるのに対して、女性は2日だけだ。
独身限定のマッチングアプリを開いてみると、「子どもがいる」欄にチェックが入っている男性は多い。都合がいい時間帯を「平日夜」にしている彼らを見ると、「その時間に子どもを見てるのはママなんだよなぁ」と、なんだかやりきれない気持ちになるのだけど、まあそれはおいておこう。
ちなみに知人の女性によると、「君も離婚してて、子どもがいるの? じゃあ、お互い子どもを連れて公園でデートしよう」と誘ってくる猛者もいるのだとか。身軽さのほかに経済的な面でも、男性の方が再始動しやすいのかもしれない。

じゃあ、日本はどうだろうか。
厚生労働省の調査によると、婚姻届のうち、どちらかが再婚の割合は約25%。フランスの約18%と比べると、日本のほうが高い。再婚までのスピードはというと、男女ともに3年以内に約3〜4割が再婚していて、これもフランスの平均年数に比べて早い。
次に気になる年齢を見ていこう。
年齢を気にしないフランス

いったい、みんな何歳のときに再婚するのだろうか。
フランスでは、再婚した人の平均年齢は男性50.3歳、女性46.5歳。再婚者の約8割が40歳以上といえる。
これには、まず初婚年齢そのものが関係している。フランスの初婚の平均年齢は男性39.8歳、女性37.3歳とそもそも高い。初婚が遅ければ、離婚も遅くなり、再婚もおのずと遅くなる。
さらに、再婚までに時間がかかるという事情もある。
フランスの離婚手続きは、日本よりも複雑で時間がかかる。2016年までは、なんと裁判を起こさないと離婚できなかった。筆者の周りでも「離婚するのに4年かかった」「€7500(約140万円)かかった」という話はざらに聞く。離婚するのがものすごく大変な国なのだ。

今では協議離婚の制度もできて、裁判はマストではないけれど、お互い弁護士をたてて、公正証書をつくり、公証役場に提出しなくてはいけない。養育費、面会頻度、財産分与……ひとつでも合意できない点があると成立しないから、長引くことに変わりはない。
初婚の年齢が遅いことと、離婚するのに時間がかかること。これらが再婚の年齢を遅らせているのだけど、「何歳になっても恋愛ができる」とも見ることができる。
たしかにフランスでは、年齢を気にしない人が多いように思う。男性は50歳を過ぎていても、平気でナンパをする。市場で野菜を買って、少し話が弾んだら「連絡先を教えて。今度お茶しよう」と言ってくるといったくらいの気軽さだ。
街中でも、50歳を超えているであろう女性が、20代らしき男性とデートをしている光景はよく見かける。実際に20歳年上の彼女がいる男性に話を聞くと「色気って、身体的なものだけじゃない。彼女は頭がいいな、色んなこと知ってるな、って思った時にセクシーさを感じるんだよ」とのこと。
ちなみにフランスには、日本や韓国で見かけるようなアイドルグループが存在しない。「若ければいい」という価値観が根付きにくいのかもしれない。

日本を見てみよう。
厚生労働省の調査によると、夫婦ともに再婚の場合、平均年齢は男性46.5歳、女性42.7歳。フランスの男性50.3歳、女性46.5歳と比べると、男女ともに約4歳低い。
この差にも、初婚年齢が影響している。日本の初婚平均年齢は男性31.1歳、女性29.4歳と、フランスより8〜9歳低い。初婚が早ければ、離婚も再婚も若い年齢で起きやすくなる。
また、日本では離婚の手続きもフランスより簡単だ。離婚届を一枚提出すればよくて、裁判を起こす必要もないし、公正証書を作る必要もない。
数字だけを並べれば、日本のほうが早く、若く再婚しているように見える。でも、実は大きな落とし穴があるのだ。
一緒にいるカタチは「再婚」だけじゃない

フランスには結婚でも独身でもない、第三の選択肢がある。事実婚と、1999年に導入されたPACS(パックス・民事連帯契約)だ。
INSEEの調査によると、フランスのカップル約1,540万組のうち、籍を入れる結婚は72%、事実婚は20%、PACSは8%を占める。つまり、カップル全体の約3割が「籍を入れない」関係を選んでいる。そのうえ、事実婚とPACSは増加傾向であり、2020年には新規の届出数において、PACSが結婚を上回っている状況である。
これは初婚に限った話ではない。60歳以上で事実婚を選んでいる人のうち、3分の2は離婚(あるいは死別)経験者だ。離婚後に新しいパートナーを見つけても、入籍をしない人がそれなりにいるということになる。
籍を入れない理由は「財産を別々に管理したい」「再婚すると前配偶者の年金遺族給付を失う」など、ひとそれぞれだ。フランスの再婚率18%という数字は、「離婚後に新たなパートナーを見つけた人の割合」ではない。
ただ、共通しているのは「一緒にいることと、籍を入れることはイコールではない」という価値観だ。

たしかに、両親が離婚している友人からは「パパの彼女」「ママの彼氏」という単語を耳にする。「もう20年以上付き合っているけれど籍は入れてない、これからも入れないんじゃないかな」という話を聞いたこともある。
離婚後に誰かと関係を築くことは、ネガティブなことじゃない。籍を入れるという「きちんとしたカタチ」を取らなくても、一緒にいてもいい。そんなゆるやかさがあるように思う(とはいえ、子どもたちに限っていうと「ママの彼氏のことどう思う?」と聞いたら、ちょっと複雑そうな顔をする時はあるけれど)。
日本では、離婚後に新しい相手と一緒になることは、ことは、籍を入れることを意味する。そのため、ことを意味する。だから統計が実態に近いけど、フランスでは統計に映らない再出発が無数に存在する。日仏の数字を単純に並べて比較できない理由は、ここにある。
それでも、数字が示していることはある。どちらの国でも、離婚後に新たなパートナーを求める人は多い。ヒトは、誰かと一緒にいたいと思う生き物なのだ。
その方法は「再婚」だけが正解じゃない。愛や共同生活のカタチはひとつじゃないのかもしれない。
<文/綾部まと>
綾部まと | ライター、作家。明治大学法学部を卒業後、三菱UFJ銀行の法人営業、経済メディア「NewsPicks」で有名なユーザーベースを経て独立。主に経済や恋愛について執筆。フランス在住。 X:@yel_ranunculus Instagram:ayabemato note:綾部まと@フランスの物書き|note |
参考文献:
・INSEE Focus n°321「Les mariages en 2022 et 2023
https://www.insee.fr/fr/statistiques/7929432
・Tableaux de l’Économie Française(2015)
https://www.insee.fr/fr/statistiques/1288597?sommaire=1288637
・INSEE「Les mariages en 2016」
https://www.insee.fr/fr/statistiques/3357016?sommaire=3317606
・Cercle de l’Épargn (2018年)
https://cercledelepargne.com/france-mariages-remariages
・INSEE Focus n°321「Les mariages en 2022 et 2023
https://www.insee.fr/fr/statistiques/7929432
・朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASS6T0DT8S6TUHMC002M.html
・婚姻法の再定位: フランス民法典の変遷から(松本薫子) 412~413ページ
https://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/22-4/010matsumoto.pdf
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綾部まと